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1 原則
一般的に,債権は,一定期間,権利を行使しないと消滅するとされています。
そして,サラ金業者の債務者に対する貸付金の場合,商事債権ですので,5年で消滅時効にかかります(商法522条)。ですから,何らかの理由(例えば,夜逃げしていて債権者から請求を受けなかった等)で,5年間,支払をしなかった場合,消滅時効を援用することによって,債務が消滅します。
5年間というのはアッという間です。法律相談を受けているときも,平成13年2月以降返済していないなどというケースがあります。その場合には,消滅時効を援用するという内容証明郵便を債権者に送って,一件落着です。
2 承認
ところで,時効期間中に債務を承認してしまうと,消滅時効は中断してしまいます(民法147条3号)。債務者が自ら債務の存在を認めてしまった以上,消滅時効を中断させる効果を認めてもいいという趣旨です。
そして,時効完成後であっても,債務者が債務を承認してしまうと,時効の援用ができないという最高裁判例があります。すなわち,最高裁昭和41年4月20日判決は,債務者が自己の負担する債務について消滅時効が完成した後に,債権者に対し債務を承認した場合,相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるから,信義則に照らし,債務者が時効の援用をすることは許されないとしました。
この判例があるので,時効完成後であっても,少しでも(例えば5000円とか)払わせて,債務を承認させて,時効の援用をさせないようにしようという業者があります。
福岡地裁の事案は,下記のようなものでした。
「Xは,昭和58年,Yに対し,40万円を貸し付けた。Yは,ほぼ毎月支払を続けていたが,3年後消息不明になった。Yが最後に支払をした日から約16年後,Xは,Yの所在を知り,残元金及び遅延損害金の合計約166万円を請求する旨の通知をした。これに対し,Yは,元金だけの分割払いにしてくれるよう求めたところ,X従業員から,いくらかでも支払ったら上司と話をするとの回答があったため,Xに対し,5000円を振り込んで支払った。」
このような事案で,XがYに対して,貸金返還請求をしたところ,前記判例からすると,Yは時効完成後に債務を承認しているので,時効の援用ができないとも思えたのですが,福岡地裁平成14年9月9日判決は,「YがXに5000円を支払った経緯やその支払いが1回に留まっていること,支払額5000円が当時の本件貸金債務の元金,遅延損害金の合計額に占める割合が著しく小さいことなどを考慮して,上記支払が本件貸金債務全体を支払う意思のもとに債務を承認したものと解することはできない」としました。
また,同判決は,「債務の承認に当たるか否かにかかわらず,X側に時効中断のための適法な権利行使をする手段はなかったのであるから,Yが5000円を支払ったことによりX側に生じたという信頼の内容や程度には限界があったこと,Yが消滅時効の完成を知らないままに行動しており,Xもそのことは十分認識できたこと,X従業員Aは,本件貸金債務が消滅時効期間を経過したことを知りながらYと交渉を行っており,Yに一部弁済を求めたのもYからの消滅時効の主張を阻止するためであったと認められること,Yが弁済をした日から本件貸金の請求をするまで約16年も経過していることなどの事情を考慮して,Yの行為は,信義則上,Yに消滅時効の援用権を喪失させる事情にあたらない」と判断しました。
このような判決もありますので,時効完成後につい支払ってしまった場合でも,必ずしも消滅時効を援用できないとは限りません。諦めてしまわずに,弁護士に相談することをお勧めします。
家賃の滞納に関して、何回も督促を出していても全く支払う意思がない家賃滞納者が存在することもあります。そして家賃の滞納に関しても時効というものが決められています。
通常時効というと刑事罰に関して広くしられていますが、家賃滞納の時効については5年と決められています。5年間滞納者が支払いを無視しつづけた場合に は、債権者である貸主の請求権は消滅してしまいます。
そのため貸主の側からしても家賃支払いの督促を行う際には時効に関する知識をあらかじめ知っておく必要があると考えられます。
ひとつの手段として時効の消滅という手段を用いて、請求権が続く期間を延長させる方法があります。時効の消滅を行うためにはまずはじめに家賃滞納者である債務者に債務の存在を認めさせる必要があります。
債務者が債務の存在を認めた時点で、それまでの時効期間は中断されることになり、新しく時効期間の計算が発生します。
債務者に対して債務の存在を認めさせる方法としては、いくつか方法があり、口答で支払うという約束をとるだけでも効果がある場合があったり、100円程度 の金額でも支払ってもらう場合であったりがあります。
また、内容証明郵便の督促状を送ったうえ、内容証明郵便が届いた日から6カ月以内に裁判手続きをとることによって時効が中断されます。内容証明郵便を送っ ただけでは時効の消滅にはならないので注意が必要です。
いずれにせよ、5年間滞納させつづけるという場合は最悪のケースであるため、その前に法的措置をとることが必要となってきます。
5年経っていれば消滅時効の援用ができます。
その場合は